介護事業サポート

1 介護サービス事業をはじめるには

介護事業をはじめるには、法人格を取得し、介護サービス事業ごとに都道府県知事又は市町村長の指定を受けることが必要です。

~介護事業のメリット~

  1. 小資本で始められる
    在宅系のサービスであれば、小規模、小資本から始めることができます。
  2. 新規参入しやすい
    業界が大手の寡占状態ではなく、業界団体もないため、参入しやすい業界です。
  3. 介護報酬で経営は安定
    介護報酬が定められているため、事業計画が立てやすく、価格競争に巻き込まれることもありません。また、介護報酬の9割は公金から支払われるため、経営は安定します。
  4. 成長産業である
    高齢化の進む中にあり、介護事業は数少ない成長産業です。
  5. 社会貢献度が高い
    社会への貢献度の高い事業です。介護事業を専業としても大きなやりがいが持てるでしょう。また、他の事業も運営している会社は、会社のイメージアップにも繋がります。

2 介護事業者指定申請手続の流れ

  • 新規法人設立の場合(株式会社、合同会社、NPO法人、社会福祉法人などの設立)
  • 既存法人の場合(定款の目的に介護事業を行う旨の記載がない場合は、目的変更の手続を行う)

通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)、小規模多機能型居宅介護などの施設系サービスの場合は、事前協議から行います。

  1. 事前協議
  2. 必要に応じて施設の建築又は改修
  3. 老人福祉法による設置届出
  1. 人員の確認及び確保
  2. 設備要件の確認及び確保
  3. 必要書類の用意及び申請書類の作成


予約日に申請書類の提出と面談

通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)、小規模多機能型居宅介護などの施設系サービスは現地調査の対象となります。

東京都の場合、申請の翌々月の1日が指定日となります。


3 介護事業の種類

介護サービス事業は、以下のとおり分類されています。


介護給付サービス
要介護者を対象とする介護サービスです。要介護者とは、心身に障害があるために、常時介護を要する状態にある者とされています。


 介護予防サービス
要支援者を対象とする介護サービスです。高齢者が要支援、要介護状態になることをできる限り防ぐとともに、要支援、要介護状態になっても、状態がそれ以上悪化しないようにし、さらには改善を図ることを目的として創設されたものです。


 地域密着型・介護予防地域密着型サービス
認知症高齢者や一人暮らしの高齢者が増加していることから、高齢者が要支援・要介護状態となっても、できる限り住み慣れた地域で生活を続けられるようにするため、原則として、日常の生活圏の範囲内でサービスの利用、または提供が完結できるように創設されたものです。

介護給付サービス -要介護者を対象-

居宅介護サービス 訪問 訪問介護(ホームヘルプサービス)(4)
訪問入浴介護(5)
訪問看護(6)
訪問リハビリテーション
居宅療養管理指導
通所 通所介護(デイサービス)(7)
通所リハビリテーション
短期入所 短期入所生活介護(ショートステイ)
短期入所療養介護
居宅介護支援(9)
施設サービス 介護老人福祉施設
介護老人保健施設
療養型医療施設

介護予防サービス -要支援者を対象-

介護予防居宅介護サービス 訪問 介護予防訪問介護(4)
介護予防訪問入浴介護(5)
介護予防訪問看護(6)
介護予防訪問リハビリテーション
介護予防居宅療養管理指導
通所 介護予防通所介護(デイサービス)(7)
介護予防通所リハビリテーション
短期入所 介護予防短期入所生活介護(ショートステイ)
介護予防短期入所療養介護
介護予防支援

地域密着型・介護予防地域密着型サービス

地域密着型サービス介護予防地域密着型サ ービス

夜間対応型訪問介護
認知症対応型通所介護
小規模多機能型居宅介護
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
地域密着型特定施設入居者生活介護
地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護

介護予防認知症対応型通所介護
介護予防小規模多機能型居宅介護
介護予防認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

4 訪問介護・介護予防訪問介護

主に要介護者に対し、入浴、排泄、食事などの介護や、調理、洗濯、掃除などの家事、生活などに関する相談・助言など、日常生活のお世話をするサービスです。要介護認定(要介護1~5)を受けている人を対象とする介護サービスです。
 人員基準 
  1. 訪問介護員
    員数:常勤換算2.5名以上
    資格:ホームヘルパー、介護福祉士等
  2. サービス提供責任者
    員数:1名以上(訪問介護員2.5名以上のうちの1名で可能です。)
    資格:次のいずれかの資格が必要です。
    ・介護福祉士
    ・ホームヘルパー1級
    ・ホームヘルパー2級で実務経験3年以上の者
     その他看護師、准看護師、保健師等
  3. 管理者
    員数:常勤1名(訪問介護員、サービス提供責任者、他の事業の管理者との兼務も可能です。)
    資格:管理者はとくに資格要件はありません。
 設備基準 
  1. 事業を行うために必要な広さの専用区画を有すること
  2. 必要な設備および備品を備えること
 一口MEMO 
訪問介護事業は、もっとも参入しやすい介護保険事業です。そしてご利用者様にとっては、もっとも身近なサービスです。

5 訪問入浴介護・介護予防訪問入浴介護

訪問入浴車で要介護者等の居宅を訪問し、浴槽を提供して入浴の介護を行うサービスです。
 人員基準 
  1. 看護職員
    員数:1名以上
    資格:看護師、准看護師
  2. 介護職員
    員数:2名以上
    資格:資格要件なし
    その他:看護職員、介護職員のうち1名以上は常勤
    看護職員、介護職員のうち1名をサービス提供責任者とします。
    医師の意見を確認した上で、看護職員に代えて介護職員を充てることができます。
    ・介護福祉士
    ・ホームヘルパー1級
    ・ホームヘルパー2級で実務経験3年以上の者
     その他看護師、准看護師、保健師等
  3. 管理者
    員数:常勤1名(看護職員、介護職員、他の事業の管理者との兼務も可能です。)
    資格:管理者はとくに資格要件はありません。
 設備基準 
  1. 事業を行うために必要な広さの専用区画を有すること
  2. 入浴に必要な浴槽等の設備等を備えること
 一口MEMO 
訪問入浴車が必要です。要介護度の高いご利用者様の多い地域では、非常に需要の高いサービスです。

6 訪問看護・介護予防訪問看護

看護師等が要介護者等の居宅を訪問し、療養上のお世話又は必要な診療の補助を行うサービスです。

 人員基準 
  1. 看護職員
    員数:1名以上常勤(常勤換算2.5名以上)
    資格:保健師、看護師、准看護師
  2. 理学療法士、作業療法士
    員数:実情に応じた適当数配置 (配置しなくても可能です。)
  3. 管理者
    員数:常勤1名
    資格:保健師、看護師 (看護職員、他の事業の管理者との兼務も可能です。)
 設備基準 
  1. 必要な広さの専用事務室を設けること
  2. 申し込み受付や相談スペースを設けること
  3. 必要な設備及び備品を備えること
 一口MEMO 
訪問看護事業は訪問介護事業と比べて介護報酬も高く、効率よく運営ができれば非常に採算性の高い事業です。

7 通所介護・介護予防通所介護

居宅要介護(要支援)者を対象として、通所介護施設に送迎し、以下のサービスを提供します。いわゆるデイサービスのことです。
  • 入浴及び食事の提供(これに伴なう介護を含む)
  • 日常生活等に関する相談及び助言
  • 健康状態の確認
  • その他の必要な日常生活上のお世話
  • 機能訓練(日常生活に必要な機能の減退を防止する運動など)
 人員基準 
  1. 生活相談員
    員数:1名以上(サービスを行う時間帯を通じていること。)
    資格:社会福祉士、社会福祉主事等
  2. 看護職員
    員数:1名以上
    資格:看護師、准看護師
  3. 介護職員
    員数:1名以上
    (利用者数15人までは1名以上、15人を超えて5名またはその端数を増すごとに1名を加えた数以上)
    資格:資格要件なし
    (利用者数10人以下の場合には、看護職員または介護職員が1名以上で可能です。)
  4. 機能訓練指導員
    員数:1名以上
    資格:理学療法士、作業療法士、看護師、准看護師等
    (機能訓練加算をとらない場合は資格要件はなく、生活相談員、介護職員との兼務も可能です。)
  5. 管理者
    員数:常勤1名
    (生活相談員、看護職員、介護職員、機能訓練指導員、他の事業の管理者との兼務も可能です。)
    資格:管理者はとくに資格要件はありません。
 設備基準 
  1. 食堂および機能訓練室 (広さ:利用者1人あたり3㎡以上)
  2. 静養室
  3. 相談室
  4. 事務室
  5. 必要なその他の設備および備品
 一口MEMO 
デイサービスは、場所さえ確保できれば非常に採算性の高い事業です。一軒家などを利用したデイサービスも可能です。指定の審査時に現地調査が入ります。

8 福祉用具貸与・介護予防福祉用具貸与

要介護者等に車イス、介護ベッド等の福祉用具を貸与するサービスです。
主に要介護者に対し、自立した日常生活を営むことができるよう、利用者の心身の状況、希望、及びその置かれている環境を踏まえた、適切な福祉用具の選定の援助・取り付け・調整などを行い、福祉用具を貸与することにより、利用者の日常生活の便宜を図り、利用者を介護する者の負担の軽減を図ります。対象者は、要介護認定(要介護1~5)を受けている人となります。

 人員基準 
  1. 専門相談員
    員数:常勤換算2名以上
    資格:福祉用具専門相談員、ホームヘルパー2級以上、介護福祉士、社会福祉士、保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、義肢装具士
  2. 管理者
    員数:常勤1名
    資格:管理者はとくに資格要件はありません。
 設備基準 
  1. 保管施設
    ・清潔であること
    ・消毒・補修済みの用具と未了のものとが区分可能であること
  2. 消毒設備機材
    ・取り扱う用具の種類および材質等からみて、適切な消毒効果を有すること
    ・ただし、一定の基準を満たした他の事業者に委託する場合は不要
  3. 事務を行うために必要な広さを有すること
 福祉用具貸与の種目 
(1)車いす (2)車いす付属品 (3)特殊寝台 (4)特殊寝台付属品(5)床ずれ防止用具  (6) 体位変換器 (7)手すり
(8)スロープ (9)歩行器 (10)歩行補助つえ  (11)痴呆性老人徘徊感知器 (12)移動用リフト

 一口MEMO 
福祉用具の保管・消毒業務を委託しての事業運営も可能です。契約によっては、採算性の高い事業運営が可能です。

9 居宅介護支援

 要介護者本人が居宅介護サービス計画を作成することは可能ですが、支給限度額の範囲内で、たくさんの種類のサービスの中から自分に合うものを組み合わせることは困難です。
 そのため、主に要介護者などからの相談に応じ、要介護者の心身の状況、その置かれている環境などに応じて、本人やその家族の意向などを勘案し、適切な居宅サービスを利用できるよう、サービスの種類や内容などの居宅サービス計画を作成(ケアプラン)し、また、サービスの提供が確保されるよう指定居宅サービス事業者、介護保険施設などとの連絡調整などを行うことを目的とする介護サービスです。
 簡単にいえば、利用者に代わって、居宅サービス計画の作成を行い、居宅サービス事業者、介護保険施設などとの連絡調整を行う、重要な窓口としての役割を持っているといえます。対象者は、要介護認定(要介護1~5)を受けている人になります。

 人員基準 
  1. 介護支援専門員(ケアマネージャー)
    員数:常勤1名以上(利用者の数が35人ごとに1名必要です。)
  2. 管理者
    員数:常勤1名
    資格:介護支援専門員である必要があります。
 設備基準 
  1. 事業を行うために必要な区画を有する
  2. 居宅介護支援の提供に必要な設備、備品を備える
 一口MEMO 
ケアマネージャーは、すべての介護保険サービスの起点となります。居宅介護支援事業のみでは、事業としては成立しにくいです。しかし、他の介護保険事業を行う上で、居宅介護支援事業の併置は必須といえるでしょう。

10 その他介護事業

訪問リハビリテーション・介護予防訪問リハビリテーション
 理学療法士、作業療法士等が要介護者等の居宅を訪問し、リハビリテーションを行うサービスです。
居宅療養管理指導・介護予防居宅療養管理指導
 病院の医師等が要介護者等の居宅を訪問し、療養上の管理及び指導を行うサービスです。
通所リハビリテーション・介護予防通所リハビリテーション
 要介護者等に施設に通ってもらい、リハビリテーションを行うサービスです。
特定施設入居者生活介護・介護予防特定施設入居者生活介護
 有料老人ホーム等。
短期入所生活介護・介護予防短期入所生活介護
 要介護者に施設に短期入所してもらい、入浴、排せつ、食事等の介護、日常生活上のお世話及び機能訓練を行うサービスです。
短期入所療養介護・介護予防短期入所療養介護
 要介護者等に施設に短期入所してもらい、介護及び機能訓練、医療並びに日常生活上のお世話を行うサービスです。
施設サービス
  1. 介護老人福祉施設
    特別養護老人ホーム
  2. 介護老人保健施設
  3. 介護療養型医療施設
地域密着型サービス
  1. 認知症対応型通所介護・介護予防認知症対応型通所介護
    認知症専門のデイサービス
  2. 認知症対応型共同生活介護・介護予防認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
    認知症の状態にある要介護者等に、共同生活の住居で、入浴、排せつ、食事等の介護、日常生活上のお世話及び機能訓練を行う。
その他
  1. 特定福祉用具購入費の支給
    要介護者等が入浴又は排せつのときに用いる福祉用具等を購入したときに、市区町村は居宅介護福祉用具購入費を支給する。
  2. 住宅改修費の支給
    要介護者等が厚生労働大臣が定める種類の住宅改修をしたときに、市区町村は居宅介護住宅改修費を支給する。

11 介護職員処遇改善交付金

介護職員処遇改善交付金とは

介護職員の処遇改善に取り組む事業者へ資金の交付を行うことにより、他の業種との賃金格差を縮め、介護が確固たる雇用の場としてさらに成長していけるようすすめていくことを目的とした制度です。 介護報酬とは別に介護職員数(常勤換算)に応じて定められた交付率による金額を受給できます。交付額は、介護職員(常勤換算)一人当たり月額平均15,000円の賃金引上げに相当する額となります。 ただし、事業年度(※)ごとに事業者が提出する実績報告に基づき、余剰金が発生した場合には、その額を返還するものとなっています。

※事業年度…交付金事業の年度区分は、当該年の4月から翌年の3月支払い分まで(12か月間)で、その交付金の額の根拠となる介護サービスは、原則として、当該年の2月から翌年1月までに提供された介護サービスです。

交付金の額

年度内に支払われる交付金の額は以下の額となります。

交付金の額 = 介護報酬額 × 交付率  (1円未満の端数切り捨て)

ただし、事業年度終了後、あらかじめ定められた賃金改善実施期間における、実際に介護職員の賃金改善に充てられた経費の介護職員の実支出額の合計額が、交付金の受給総額を下回る場合には、その差額を返還しなければなりません。

サービスごとの交付率についてはこちらをご覧ください。

交付金の受給方法

交付金を受けようとする事業者は、承認申請書、処遇改善計画書等に添付書類等を添えて、都道府県知事に承認申請を行います。申請は事業年度ごとに受け付けられ、承認を得られなかった事業者でも、同一事業年度内に再度申請することができます。

申請期限

申請期限は、原則として、サービス開始月の前月15日までです。 ただし、当面の間はサービス提供月の当月15日まで申請は受け付けられます。その場合の交付金支給開始月は、サービス提供月の3か月後となります。

交付金の受給要件

  1. 平成21年10月から平成24年3月までの期間内に、別表1に掲げる交付金対象サービスを提供する見込みのある事業者であること。
  2. 平成20年10月から翌年3月までの期間内における介護職員の賃金(退職手当を除く)に対する改善額が、<介護報酬総額×交付率>により算出された交付金見込額を上回る計画を策定していること。
  3. 介護職員処遇改善計画の内容について、事業者の介護職員に対して周知していること
  4. 交付金の対象事業者として申請した日の属する月の初日から起算して過去1年間に、労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法、労働者災害補償保険法、雇用保険法等の違反により罰金刑以上の刑に処せられていないこと。
  5. 労働保険に加入していること。
平成22年度以降にあたっては、上記要件に加えて、平成21年度介護報酬改定を踏まえた処遇改善事項について定量的な要件を課すこと(例:勤務シフトの改善や教育・研修の充実を一定額分以上行うこと等)のほか、キャリア・パスに関する要件を追加することとされており、これを満たさない場合は、交付金額を減額されることが予定されています。

必要書類

介護職員処遇改善交付金承認申請には次のものを添付しなければなりません。 

添付書類備 考
介護職員処遇改善計画書を周知していることを証するもの周知方法による。
  1. 事業所に掲示した場合…掲示箇所の写真
  2. 全介護職員にメール…メール本文を印刷したもの
就業規則賃金・退職手当・臨時の賃金等に関する規程を就業規則とは別に個別作成している場合は、それらの規程を含む。
労働保険に加入していることが確認できる書類労働保険料等の納入を証する書類、労働保険関係成立届、労働保険概算・確定保険料申告書等

事業者の責務

 交付金を受けようとする事業者は、以下の事項を遵守する責務を有します。

  1. 交付金を介護職員の賃金改善に要する費用(当該改善に伴う法定福利費等の事業主負担増加額を含む。)以外の費用に充ててはならない。
  2. 交付金の趣旨に鑑み、交付金により賃金改善を行う給与の項目以外の給与の水準を低下させてはならない。ただし、業績等に応じて変動することとされている賞与等が、当該要因により、変動した場合についてはこの限りでない。
  3. 各事業年度における最終の交付金の支給があった月の翌々月の末日までに実績報告書を提出し、あらかじめ定められた賃金改善実施期間における、実際に介護職員の賃金改善に充てられた経費の介護職員の実支出額の合計額が、交付金の受給総額を下回る場合には、都道府県に対してその差額を返還しなければならない。
  4. この交付金に係る支出と実際に介護職員の賃金改善に充てたことがわかる書類を作成し、これを実績報告後、5年間保管しなければならない。
  5. 労働基準法等を遵守しなければならない。

変更の届出

事業者は、承認申請時に提出した申請書及び計画書等に一定の変更があった場合には、当該変更の届出をしなければなりません。 (届出事項)

  1. 会社法による吸収合併、新設合併等による介護職員処遇改善計画書の作成単位が変更となる場合は、当該事実発生までの交付金の使用実績及び残額並びに承継後の交付金の取扱いに関する内容
  2. 複数の事業所等を一括して申請を行う事業者において、当該申請に係る事業所等に増減(新規指定、廃止等の事由による)があった場合は当該事業所等の介護保険事業所番号、事業所等名称、サービス種別
  3. 就業規則を改正(介護職員の処遇に関する内容に限る。)した場合は、当該改正の概要

交付金の実績報告

事業者は、各事業年度における最終の交付金支払いがあった月の翌々月の末日までに、都道府県に対して、介護職員処遇改善実績報告書を提出することにより、一定の事項を報告しなければなりません。

 報告事項 

  1. 交付金の受給総額
  2. 交付金による賃金改善実施期間
  3. 2の期間における次の事項
    ア 介護職員常勤換算数の総数
    イ 介護職員に支給した賃金総額
    ウ 介護職員一人当たり賃金月額
  4. 実施した賃金改善の方法
  5. 4の実施に要した費用の総額(賃金改善に伴う法定福利費等の事業主負担増加額を含む。)
  6. 他道府県の事業所等(同一法人の事業所等に限る。)の介護職員の賃金改善の原資とした額
  7. 他道府県の事業所等(同一法人の事業所等に限る。)が支給を受けた交付金を原資として介護職員の賃金改善の原資として充当した額
  8. 賃金改善所要額
  9. 賃金改善に使用しなかった交付金の総額(都道府県への返還額)
  10. 介護職員一人当たり賃金改善額(月額平均)

その他

事業者は、上記のほか以下の点に留意してください。

  1. 本交付金は、毎月、介護報酬総額が確定した段階で支給されます。
  2. 交付金の算定根拠となる毎月の介護報酬総額は、事業者が国民健康保険団体連合会へ送付した請求情報に基づくこととなります。
  3. 複数の事業所単位又は事業者単位で承認申請を行った場合、実績報告においても同じ複数の事業所単位又は事業者単位で行なうこととなります。
  4. 交付金の支払いを国保連等に委託している場合には、委託先である国保連等から交付金が支給されます。

12 介護事業用語解説Q & A

人員基準の「常勤」とは?
常勤とは、当該事業所に勤務時間が、当該事業所において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(通常は週40時間。週32時間を下回る場合は週32時間を基本とする。)に達していることをいいます。
同一の事業者によって当該事業所に併設される事業所の職務であって、当該事業所の職務と同時並行的に行われることが差し支えないと考えられるものについては、その勤務時間が常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していれば、常勤ということができます。
「常勤換算」とは?
当該事業所の従業者の勤務延時間数を当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)で除することにより、当該事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法をいいます。この場合の勤務延時間数は、当該事業所の指定に係る事業のサービスに従事する勤務時間の延べ数となります。 例えば、当該事業所が訪問介護と訪問看護の指定を重複して受ける場合であって、ある従業者が訪問介護員等と看護師等を兼務する場合、訪問介護員等の勤務延べ時間数には、訪問介護員等としての勤務時間だけを算入することとなります。
「勤務延時間数」とは?
勤務表上、当該事業に係るサービスの提供に従事する時間又は当該事業に係るサービスの提供のための準備等を行う時間(待機の時間を含む。)として明確に位置付けられている時間の合計数となります。なお、従業者1人につき、勤務延時間数に参入することができる時間数は、当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき勤務時間数を上限とします。
「専ら従事する」「専ら提供にあたる」とは?
原則としてサービス提供時間帯を通じて当該サービス以外の職務に従事しないことをいいます。
「法定代理受理」とは?
要介護認定を受けた利用者が、ケアプランに基づき指定サービスを受けた際、利用者が事業者に支払うべきサービス費用の一部(利用者負担分)を除いた分を事業者が市町村から受け取ることをいいます。
「介護報酬」とは?
介護サービスを提供した事業者に支払われる報酬のことをいいます。事業者は原則として保険者としての区市町村・広域連合からサービス提供に要した費用の9割、利用者からその1割を利用料として受け取ります。
「要介護認定」とは?
被保険者や家族が保険者である区市町村に対し、寝たきりや認知症などの介護サービスを受けられる状態かどうかの認定を求める手続きをいいます。介護支援専門員(ケアマネージャー)の訪問調査と医師の意見書をもとに介護認定審査会が認定し、要介護度を決定します。
「要介護度」とは?
介護保険制度において、要介護状態を介護の必要に応じて定めた程度の度合いで、「要支援1」、「要支援2」、要介護度の状態が最も軽い「要介護度1」から最重度の状態の「要介護度5」まで7段階あります。
「要支援状態」とは?
要介護状態まではいかないが、一定の期間継続して日常生活を営むうえで支障があると見込まれる状態をいいます。例えば、掃除、洗濯、買い物等の身の回りのことができない状態です。つまり、要介護となるおそれがある状態が「要支援状態」で要介護認定で要支援に該当します。
「養護老人ホーム」とは?
65歳以上の高齢者で、身体上及び精神上の理由や、環境上の理由及び経済的な理由により、家庭での生活が困難となった高齢者を入所させて養護するための施設です。
「特別養護老人ホーム」とは?
寝たきりや認知症など、常に介護が必要で、自宅で生活することが困難な65歳以上の高齢者を受け入れるための施設です。略称は「特養ホーム」といいます。介護保険の施設サービスの給付対象になる介護老人福祉施設で、自治体や社会福祉法人が設置します。自由に申し込めますが、必要度に応じて優先的に入居できる制度もあります。利用料は、介護保険の1割負担とホテルコスト、食事代、雑費等を含めて月額10万円前後となります。4人部屋が多いですが、新しい施設では個室も増えています。
「課題分析票」とは?
介護サービス計画(ケアプラン)を作成するにあたり、課題分析を行うための客観的な手法をいいます。MDS-HC方式、三団体(全国老人保健施設協会、全国老人福祉施設協議会、介護力強化病院連絡協議会)ケアプラン策定研究会方式、日本介護福祉会方式、日本社会福祉会方式、日本訪問看護振興財団方式、全国社会福祉協議会方式などがあります。
「MDS-HC方式」とは?
介護サービス計画(ケアプラン)を作成するにあたっての課題分析の手法で、在宅アセスメント表を用い、記憶、聴覚、日常生活動作など計17分野、約200項目のアセスメントを行い、要介護者等の固有の問題領域を分析・把握する方式です。潜在的ニーズ、リハビリでの改善可能性等の体系的分析や医療と福祉の一体的分析、在宅・施設に関わらない総合的評価が可能という特徴があります。
「三団体ケアプラン策定研究会方式」とは?
三団体は、全国老人保健施設協会、全国老人福祉施設協議会、介護力強化病院連絡協議会をいいます。介護サービス計画(ケアプラン)を作成するにあたっての課題分析の手法で、要介護認定の際の調査票に加え、ケアチェック表、在宅復帰在宅支援の検討表、サービス利用計画表、サービス担当者会議録など、独自の書式を利用します。要介護認定からスムーズにケアプラン作成が可能となり、在宅復帰、在宅支援など要介護者等の自立を重視する点に特徴があります。
「日本介護福祉会方式」とは?
介護サービス計画(ケアプラン)を作成するにあたっての課題分析の手法で、サービス提供側が一方的にアセスメントし、策定するのではなく、要介護者の生活の背景や価値観に沿ってケアプランを組み立てるべきとの考えをもとに、介護ニーズを把握する方式です。利用者の持つ意欲と能力がアセスメントの主要な要素となり、衣、食、住、体の健康、家族関係、社会関係の7領域を重視する点に特徴があります。
「日本社会福祉士方式」とは?
介護サービス計画(ケアプラン)を作成するにあたっての課題分析の手法で、アセスメント・作成・実行・モニタリングの各過程で最低限の必要項目をチェックしながら実施する方式です。介護者の健康状態、就労状況、介護継続の意思、介護知識などの把握が可能となり、要介護者、介護者双方の意見や要望の記入が可能となる点に特徴があります。
「日本訪問看護振興財団方式」とは?
介護サービス計画(ケアプラン)を作成するにあたっての課題分析の手法で、成人、高齢者の在宅療養者及び生活機能障害者を対象とする方式です。精神疾患を有する要介護者にも対応可能である点、寝たきり等防止のため、ADL・IADLに重点を置く点に特徴があります。
「全国社会福祉協議会方式」とは?
介護サービス計画(ケアプラン)を作成するにあたっての課題分析の手法で、9領域のアセスメントを通して、要介護者等の身体機能的側面、心理的側面、社会的側面が理解でき、生活像を明らかにすることができます。アセスメント用紙に要介護認定のための調査項目を導入し、要介護認定から連続してケアプラン作成が可能です。また、在宅対応の計画作成用紙であるとともに、施設サービス計画と連続性を持つことができ、主訴をもとに生活する上での困りごとを明らかにすることができる点に特徴があります。
「ハートビル法」とは?
ハートビル法とは、高齢者や身体障害者等が円滑に利用できる建築物の建築の促進を図ることを目的として、平成6年に制定された「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」の通称です。ハートビル法は、バリアフリー新法の施行に伴い平成18年12月20日に廃止されています。
「バリアフリー新法」とは?
バリアフリー新法とは、高齢者、障害者(身体障害者・知的障害者・精神障害者・発達障害者を含む、全ての障害者)、妊婦、けが人などの、移動や施設利用の利便性や安全性の向上を促進するために、公共交通機関、建築物、公共施設のバリアフリー化を推進するとともに、駅を中心とした地区や、高齢者、障害者などが利用する施設が集まった地区において、重点的かつ一体的なバリアフリー化を推進することを目的として、平成18年12月20日に施行された、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」の通称です。バリアフリー新法は、公共交通機関や駅などの旅客施設を中心にバリアフリー化を進める「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」(交通バリアフリー法/平成12年制定)と建築物のバリアフリー化を進める「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」(ハートビル法/平成6年制定)を統合・拡充した法律です。
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